研究分野

研究分野

単位操作グループ

  • ナノ材料のサイズ・構造・形状制御が可能な連続合成プロセス設計の学理基盤構築:
    反応、重合、析出、結晶化の全ての要素を含む水熱ナノ結晶合成プロセスを対象に、反応速度や核生成・核成長のモードを大きく変えて実験し、物質移動・熱移動の影響を評価した上で、ナノ材料合成反応の反応速度解析及び核生成・成長の速度論解析を行う。古典的/非古典的核生成の両者を考慮し、反応場の物性と原料/生成物の物性により記述される新たな反応モデルを構築し、新学理に基づいた粒子のサイズ・構造・形状の予測・制御を実現する。
  • ナノ粒子の吸脱着・ろ過プロセスの工学的学理の構築:
    多成分物質群の吸着パラメータを推算する高速実験・解析法の構築により、吸脱着法によるナノ粒子の選択分離のための学理を構築する。また、フィルタープレスや凝集剤添加といった現実的なプロセスにおいて効果的に、かつハイスループットでサイズ分画が実現可能な学理を構築する。
  • ナノ粒子複合材料形成における混練プロセスの工学的学理の構築:
    高分子(樹脂)との複合材料を対象として、複合材料中ナノ粒子の配列構造制御のために、混練に要する動力・時間と物性・構造形成推算を連動させ、混練プロセスによるナノ粒子の混合と構造形成のための学理を構築する。これにより、配列構造制御による複合材料機能最大化を実現する。
  • ナノ粒子の抽出分離・精製プロセス設計の学理基盤構築:
    相平衡推算に基づき、合成されたナノ材料を副生成物や未反応原料と分離するための抽出分離・生成プロセス設計の学理を確立する。
  • ナノ粒子の乾燥・固液分離プロセス設計の学理基盤構築:
    構造形成推算とナノ流体溶媒蒸気圧に基づき、ナノ粒子分散液から所望のナノ粒子配列構造体を得るためのプロセス設計を可能とする学理を構築する。

相平衡・物性推算グループ

  • ナノ粒子の相平衡・物性推算の学理構築:
    ナノ粒子を擬似分子と近似して、ナノ粒子の溶媒中での凝集・分散を相分離・相平衡として捉える新しい相平衡体系を構築する。ナノ粒子の実効サイズ、質量、組成、表面電位等の分析データを総合して、擬似分子としてのパラメータを決定し、このパラメータを利用した分子動力学シミュレーションから擬似分子としての臨界物性等の物性値の算出も行う。この臨界物性を用いて、状態式によるナノ粒子-溶媒系の相平衡推算と物性予測を可能とし、ナノ粒子間の凝集や分散、分画等を定量的に取り扱う基盤学理を提示する。また、ナノ粒子の結晶構造と表面修飾量、表面化学状態と相平衡・物性の相関を明らかとし、所望の分散・凝集状態実現のためのナノ粒子設計指針を構築する。

構造形成グループ

  • ナノコンポジット材料の高次構造を制御するアセンブリプロセスの学理構築:
    合成、濃縮、乾燥、混練等の各単位操作プロセスを対象とし、ミクロからマクロに渡る現象の理解を通して、ナノコンポジット材料の機能・特性を決定する材料の高次構造を制御するための学理・方法論を構築する。分子からメソスケールにわたる時空間マルチスケール計算科学、速度や温度場、形状のin-situ測定可能な材料製造及び材料構造解析、物性の計測・推算、に関る要素技術を開発し、これらをリンクすることにより、材料構成要素間界面の親和性、プロセス-構造-物性の相関を解明する手法を構築する。さらに、これらの手法と熱流体(プロセス)シミュレーションを併用し、各単位操作プロセスにおけるナノ粒子の構造制御法を提示する。

データベース化グループ

  • 超短期間ナノ材料開発技術基盤開発:
    流通式水熱ナノ材料コンビナトリアル合成システムに分散分配係数・拡散係数・粘度・熱伝導係数評価装置を接続し、ナノ材料の合成から物性評価までを高速に行うシステムを開発する。また、種々溶媒やポリマーに、ナノ粒子を任意濃度で混合し、せん断付与や各温度・溶媒蒸気分圧条件での分散・凝集状態を高速に評価するシステムを構築する。これら高速材料探索・解析システムを、第一原理計算-分子動力学による原理解明と連動させ、超短期間ナノ材料開発を実現する技術基盤を開発する。
  • プロセス-構造-機能相関DB構築:
    各単位操作プロセスの設計情報、ナノ粒子系の構造―機能相関情報、及び、熱力学(物性推算・相平衡推算)を集約し、AI支援の下、プロセス-構造-機能相関DBを構築する。
  • 産学官の相談先の構築:
    コンソーシアムを設立し、産学官の相談先となる「製品・プロセス設計基盤・AI DBセンター」機能を構築する。DB・設計情報のみならず、超短期間ナノ材料開発方法論を外部に提供する新ナノ材料創製基盤を構築する。この体制を本プロジェクト終了後も維持し、AI支援による自動合成・自動DB構築システムにより恒久的にDBをアップデートすることで、産業の新ニーズに対応していく。